恒言通言明言記

武侠を中心に書いていきたいです。目指すは二十一世紀の馮夢龍。
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『ミナミの帝王 仮面の女』(2004年)


 元々は漫画を読んでから映像版を観るようになったけれど、巻数を重ねるにしたがって漫画はつまらなくなってきている。特に最近のパチンコ屋やらアメリカのテレビドラマもどきの時限爆弾やらタイやら、コマ割りだけでなく露骨に無駄に話を引き延ばしているだけで全く中身が無い。あまりにつまらないので立ち読みもしなくなった。
 ここ数年で最低だったのが「銀次郎VS緑茶戦争」で、ミナミの帝王である必要性が皆無であった。「銀次郎VS押し紙」、「銀次郎VS村上ファンド」、「銀次郎VSキヤノン」あたりも時事問題を積極的に取り入れる姿勢はともかくとして、題材が剥き出しのまま呈示されており、それが作品として上手く消化しきれていない。この漫画も昔は「銀次郎VS企業舎弟」「銀次郎VSやくざ議員」とか再読するような面白さがあったものだが。近年で再読したのは「銀次郎VS婚活おやじ」ぐらいのものだ。

 2004年の『ミナミの帝王 仮面の女』。この作品、ミナミの帝王でぐぐると検索候補に挙がってくるので大いに期待して観たのを覚えている。病院を舞台にした大掛かりな詐欺事件の背後に謎めいた女性の夏樹陽子の姿が浮かび上がってくる。この夏樹陽子が題名どおりの実に不気味な女性であり、詐欺で巨額の利益をあげながら何故かひっそりと不動産屋を経営している姿や、謎の過去が朧気に判明していく展開はサスペンス感が満ちている。いつもとかなり空気の違う『ミナ帝』中の異色作である。流石は検索候補。

 しかし、驚いたのが結末でいつもの『ミナ帝』と同様に、しょっぱい罠というか言いがかりを夏樹陽子にかけて、その正体も特に説明のないまま(敢えて説明しないという制作意図は若干感じるけれども)となってしまった。途中までは通常と違った盛り上がりを見せておきながら、結末がこざっぱりとしたものになって、結果、作品自体が台無しになっている。これは1998年の5時間版と同じ轍を踏んでいる。あちらは長いだけに最後の脱力感がすさまじかったが。こちらも脱力感もなかなかのものだったので、一度観ただけで二度と鑑賞していない。

 今作の敵役の仮面の女が醸し出す不気味な姿は演ずる夏樹陽子によるものが大きいように思う。あるときは女囚さそりであったり、ハングマンだったり、隠密同心だったり、エマニエルの美女だったり、ダブルエックスだったり、その正体は獏として掴み難い。その裏には底知れぬ闇が広がっているように思う。島田陽子や岸恵子などと同じように。夏樹陽子さんの闇を覗いてしまってはこちらの心も侵食されそうなので、考えるのはよしておきたい。
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[ 2014/02/26 17:18 ] ミナミの帝王 | TB(0) | CM(6)

笹沢左保『泡の女』(1961年)


 笹沢左保というと、背表紙の写真のやたら大きいサングラスかけてどや顔している角刈りの変なおっさんの姿から、その小説もつまらないだろうと判断する人が多いかもしれない。確かに1970~80年代あたりの作品は、その散漫な構成やら無意味とも思える執拗な性愛描写やら粗い文章が目について、読むのがつらい。ホテルに缶詰めされて、立った姿勢で執筆もしていたという笹沢。梶山季之と同様に、依頼された仕事は片っ端から引き受けていたのだろう。若い頃はそれでも天賦の才のせいか、それなりに質は維持されているけど、引き受けすぎて粗製乱造してしまっているのは至極残念に思う。編集者を満足させるのはいいけど、読者も満足させてほしいね。後年の作品でも、純粋な本格推理として評価されているのはいくつもあるけど俺は認めない。一度読んでもあほらしくてすぐに捨ててしまう。それにしても、何故あそこまで性愛描写にしつこく拘ったのだろうか。気持ち悪い。

 若いころの笹沢は実は探偵小説作家には珍しいイケメンだ。長身のややするどい目つきで実にかっこいい。その容姿通りに小説も粒ぞろいの佳作ばかりで大好きです(もっとも、初期の作品の中にも、すかすかの中身の露骨な手抜き作品があって落胆させられることもありますが)。

 左保ちゃんの1960年代の作品で、3番目くらいに好きなのが1961年の『泡の女』。近年の東京創元社から出た解説本でもこの小説は紹介されていて、笹沢の代表作とみて差し支えのない出来栄え。
 父親殺害の嫌疑をかけられた夫の無実をはらすため、ひたすら奔走する若いヒロインという典型的な笹沢小説。舞台が東京の京王線やら東急線沿線の住宅街で中上流階級が主役というのも、いつもの笹沢小説。男が主役の『空白の起点』やずべ公が主役の『結婚って何さ』も勿論好きだけれど、どちらかというと清純派が主役の作品が好みです。

 実のところ、笹沢小説をいくつも読んでいると、題名からも何となく真犯人は予想がつくだろうし、本格探偵小説としては手がかりを出すのが後半すぎてやや甘い。しかし、孤独と逆境の中で必死に真相を探るヒロインの切実さ(と、かっこいい素人名探偵ぶり)は、左保ちゃんの小説の中でも随一のものである。虚像が剥がされて露わになる人の真の姿と、それによってある行動の意味が騙し絵のように全く反転してしまうのは偵探小説の正統派。何より優れているのはラストの映像的ともいえる場面だろう。前述の本には「推理小説史上に残る美しさ」などと書いてあったような気がするけど、その評価も決して過剰なものではないと私は考えております。
[ 2014/02/16 09:31 ] 推理小説 | TB(0) | CM(0)

将棋順位戦中継観戦の勧め

 
 この前、森下卓九段下が第二回電王戦に出場すると書いたけど、正しくは第三回でした。いつも確認しないで、不確かなことばかり書いていて斬り捨て御免なさい。米長が2手目6二玉を指してた単発の興業が第一回の電王戦だったらしい。じゃあ、その前の清水さんの対局は無視なのか。

 第三回の宣伝の映像を少し見ると、救国の士・安部総理が振り駒を行うし、小田原城やあべのハルカスで対局するなど、前回よりもすごい力の入れようだ。これも谷川浩司会長の政治力ゆえなのでしょうか。世界に冠たる我が大日本国の総理すらも一声で動かすことのできる男。それが谷川達人。正に日本の黒幕。むしろ安部総理は谷川達人の掌中で踊らされている傀儡に過ぎないと想像するだに吾人は背筋が凍りつく思いになります。

 森下先生は順位戦は勝ち越すし、王位戦リーグ入りも決めて好調なようで対機械も期待できそう。王位戦紅白リーグ入りを決めた松尾歩戦は横歩取りの先手番。横歩でも右辺から金がもりもり盛り上がっていく森下大好きの抑えこみ将棋。この前のNHK杯の解説では、「横歩から逃げる奴は棋士失格。最低のロートル野郎」みたいな自虐としかきこえない発言をしていたけれど。
 森下のNHK杯の解説は年に1回くらい見かけるけど、B2に落ちてからは一度もNHK杯の予選を突破できていないような気がする。次の対局で森下先生を見るときは「順位戦はプリクラ。竜王戦は六組です」と紹介されそうで恐ろしい。


 電王戦主催の動画サイトは気持ち悪いから一切お金を落としたくないけど、布施駅のつもりでよく観戦しているのが順位戦の中継。二ヶ月で千円くらいからで順位戦が全て見られる!という20年位前から考えたら便利なサイト。世間の人も是非みてほしい。B級2組とC級1組に、とても堅気には見えない強面の中年が一人ずついるのが少し怖いけれども。

 順位戦中継をみていて気がついた点というか要望。
・A級こそは文字通りの速報中継で解説も充実しているけど、C2にでもなると遅報になっている。今の値段と予算を考えるとこれ現状で妥当かもしれないけど、やや不満。 
・B1とB2を同じ日にやられると多すぎて疲れるから別の日程にしてほしい。
・順位戦ばかり見慣れると、別の組に所属する人同士の他棋戦の組み合わせが新鮮に思える。そっちの中継が見たくなる。
・誤植や符号の間違えが非常に多いけれど、それは気にしないでどんどん書いてほしい。でも、特に符号は気がついたら後で訂正してほしい。
・昼食と夕食を写真入りで詳細に紹介することに需要はあるのか。
・感想戦は行なわれなかった為、阿部八段の撮影は間に合いませんでした。
[ 2014/02/15 11:04 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

将棋、森下卓が電王戦に登場の段

 第二回電王戦という興業に登場するプロ騎士の中に森下卓の名前があった。非常に意外。こういうのには出そうにない人だと思っていた。森下卓いつ電王戦出るの?今出川でしょ!
 思い返せば、半年ほど前の第一回の電王戦は衝撃的であった。佐藤(慎)の敗北にまず泣きそうになったけど、最終戦の三浦の完敗にいたって唖然とした。俺の人生で初めて三浦を応援をした対局だったのに。開けてはいけない地獄の門をつい開けてしまったというか、ヘルレイザーのパンドラボックスをつい解いてしまったような感がした。武蔵がピンヘッドに公開虐殺されてしまったのだ。
 
 少し以前に書き散らしてあった第二回の出場棋士の俺の予想はこうだった。

本命:今回よりやや強い程度の無難な人を5人揃える。

対抗:上から順に森内名人以下5人最強の陣営で本気で戦う。

3位:コンピューターがすごく強いと判明したので、もうやらない。

4位:谷川浩司対GPS将棋、涙の百番勝負。ほぼ一方的な勝利に酔いしれ、棋士をせせら笑い、挙句には棋士の存在の否定すら始めたソフト開発者に対して谷川会長が怒りの戦闘宣言!「てめえらに今日という日を生きる資格はねええ!」。という全て仕込み済みのプロレス的興業。興業もまた棋界の伝統である。

5位:熟練振り飛車チーム。アマチュアに大人気の振り飛車戦法。その最新形をこの注目の場で存分にアピールする。
先鋒=石川。次鋒=藤井。中堅=小倉。副将=藤井。大将=藤井。

 結果はやはり無難といえる本命になった。とよぴーさんと卓ちゃんが出るのは驚いたけど。
 森下先生の年齢と前回の結果を考えると、正直勝てる気がしない。でも逆に森下のみ負けで残りは棋士側が全勝だったりするのも面白そう。いよいよ無冠の帝王の汚名挽回、名誉返上の絶好機がきたかたと思うと応援したくなる。ついでに引退するまでに一回くらいは豊島に勝ってほしい。だけど卓、「まいまいと電話がしたかった」とかまたなめた言い訳だけはよしてくれよな。
[ 2013/11/21 09:09 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

『ミナミの帝王 裏切りの報酬』(2002年)

 
 主題歌『欲望の街』。竹内力の下手な歌唱に芋っぽい歌詞。初めて聴いたときは、なんてダサい主題歌だろうと思った。特に歌詞の結びの「ああ大阪ドリーミングナイト」とかいう意味不明の文句が最高にダサい。だが段々聴き慣れてきて今ではこの曲を聴かないと『ミナ帝』を見た気にならない。
 
 ミナミという土地の正確な範囲は分からないけれど、夜に歩いていると正に欲望の街という言葉を実感できる。歌舞伎町並みの客引きの数の多さ。けばけばしい電飾。回転寿司屋の密集率は謎であるけれど。観光客目当てと思われるたこ焼き屋は商売としてかなりおいしそう。

 『ミナミの帝王 裏切りの報酬』。2002年の作品。女助手はセレブそのものの川島なお美ちゃん。舎弟は皇室不敬野郎の山本太郎くん。

 カラオケ屋の社長の小宮孝泰は、多額の借金をして店の拡張と改装を進めたが素人商売ゆえなのか、売上は不振で銀行の融資もままならない。大出俊経営の大手不動産会社・都開発に改装費用1億5千万円の支払いを待ってもらう為、同社の専務・市川勇との宴席を友人の竹田高利に設けてもらった。
 小宮の土下座の必死の懇願に、市川は小宮が義父から受け継いだ土地を担保にすることを条件にしてきた。義父伝来の大事な土地ではあったが小宮も折れた。
 しかし、実は都開発は最初からマンション開発のためにその土地を手に入れることが狙いであり、竹田は友人を裏切って市川と大出と裏で結託していたのだ。

 この竹田と市川の悪役の密談場面が定型的な会話で非常にすばらしかった。
市川「店の状況はそんなに悪いんか?」
竹田「二店とも厳しいままです。週末でさえ、一杯になることはありまへん」
「素人の小宮にカラオケのグループ経営なんて、どだい無理な話なんや。1号店の失敗で懲りんかった時点で、奴は終わっとったいうことやろ。銀行の融資は?」
「この状況では無理ですわ」
「となると、来月の払いも難しい。これで、担保のこの土地はもう都開発のもんいう訳やな…」
「はい」
「こうも見事に釣られてくれるとはな」
「ええ」
「うちのビルに二号店を出すいう話を竹田はんが小宮に上手いこと勧めてくれたおかげや」
「部長が声をかけてくれたおかげです」
「わしと竹田はんが裏で組んでるとは知らんと、ほんまにめでたい男やで…。この土地さえ手に入れたら、わしの出世も間違いなしや。1億5千の10%。竹田はんへの報酬もきっちり払う。わしとあんたは一心同体でっせ。」
「ありがとうございます」
「うちの社長も竹田はんのことはえらい気に入ってるんや。」
「ほんまでっか?」
「ああ、ほんまや」
微笑み合う二人。

 友人を裏切った竹田も、しかし都開発にとってはただの捨て駒にすぎなかったのだ。借金と土地、そして二人の壊れた友情の行方はどうなるのであろうか。

 解決法がやや偶然に頼っているようで爽快感が薄まっている。しかし、小宮の義父が土地を大事にしてきた理由が伏線としては上手く機能している。
 主役二人の小宮孝泰も竹田高利も藝人だから演技はやや稚拙。特に竹田の台詞の滑舌の悪さはかなりのもの。だが稚拙なりにも二人の熱い友情演技は良かった。
 悪役の大出俊は上から目線の嫌味たっぷりの企業社長を好演。定型的な台詞一つ一つがが気持ちいい。これが熟練した俳優の味なのだろう。
 暴力や性を排除した穏健な作風と適度な人情描写によって好きな作品です。
[ 2013/11/12 12:15 ] ミナミの帝王 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

陳奮翰(ちん・ぷんかん)

Author:陳奮翰(ちん・ぷんかん)
 20代。男。日本人。
 好きな作曲家は、グラズノフ、グリエール、チャイコフスキーです。武侠小説ほか好きな事を書き散らしていきます。
 引用りんく自由。無知蒙昧ゆえ至らぬ点がありますが、よろしくお願いします。
 常にちんぷんかんであって、安本丹や池須家内にならぬよう気をつけます。

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